秋田にある麹店と甘酒の作り方!失敗から学ぶ手作り甘酒のコツを紹介
秋田は米どころとして有名で、その良質なお米を利用したお酒造りや味噌作りも盛んです。お酒や味噌づくりに欠かせないのが麹であり、酒造りをして酒粕ができます。甘酒は、麹から作られたものと、酒粕から作られたものがあり、どちらも健康に良いものですが、味が違います。
米麹も酒粕もけっこう色々なところで売っていますが、より健康に良いのは手作りが一番!今回は米麹で作る甘酒の作り方や秋田の麹屋さんについて紹介します。
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甘酒について
甘酒は、とても栄養豊富なスーパードリンクです。飲む点滴、飲む美容液として一時期テレビなどでたまに話題に上がっているのを目にしたことがあるのではないでしょうか。ビタミン類やアミノ酸も豊富にバランスよく含まれ、美肌効果、便秘改善効果、ダイエット効果などがあります。
甘酒には2種類あって、米麹から作るものと、酒粕から作るものがあります。味や効果に違いがありますが、どちらも健康や美容に良い飲み物です。
「麹」と「糀」の違い
ここでは「こうじ」を「麹」と表してきましたが、「こうじ」を表す漢字は2種類あります。
「麹」は、米や麦、大豆などの穀類で作るこうじ全般のことを表す漢字で、中国から伝わったものです。
「糀」は、明治時代にできた和製漢字です。この漢字が表すのは米こうじのみ。ふわふわした白い菌糸が、蒸し米の表面を、まるで花のように覆っている様を表した象形文字が「糀」です。
- 酒粕からできた甘酒
- 酒粕からできた甘酒はお酒の匂いがします。お酒が苦手な人は匂いだけでもう無理かも…
- 酒粕にはアルコールが含まれるので、子どもや運転手などは要注意です。市販されている酒粕の甘酒は問題ない程度のアルコールやノンアルコールもあるので、よく見て購入すると良いでしょう。手作りする場合は、アルコールを飛ばす方法もあります。
- 酒粕はほとんど甘みがないため、加糖して甘くします。
- 米麹からできた甘酒
- 米麹を発酵させて作ります。米のでんぷん質が分解されぶどう糖になるため、加糖していない素材そのものの自然な甘みです。麹の粒が残るので粒感を味わえます。
- 初めて甘酒を飲んだときに、まずいと感じ、それ以来甘酒を飲んだことがない、という人はもしかしたら酒粕で作った甘酒を飲んだのかもしれません。もし機会があれば、米麹から作った甘酒を飲んでみてください!
米麹から作った甘酒も独特な匂いや味はあるので、甘酒全般がだめなのかもしれませんが、もしかしたら米麹の甘酒なら飲めるかも。甘酒の効果を考えると試す価値ありです。
私の友人は小さいときに甘酒を飲んでまずいと感じ、甘酒が健康にいいと知りつつも避けてきたそうです。ところが、湯沢の蔵解放イベントのとき、無料で振る舞われた甘酒を少しだけとなめてみるとおいしいと!
おそらく、小さいときに飲んだ甘酒は酒粕の甘酒だったのだと思います。このときに飲んだ米麹の甘酒はおいしいといって何度も飲んでいました。笑
甘酒は手作りするとお得で健康効果が高い
市販されている甘酒は、たいてい加熱処理されています。発酵が進むと酸っぱくなるため、おいしい状態で発酵をとめるためです。加熱するということは、麹菌は死んでしまう…甘酒の持つ効果が激減です!甘酒の真の効果を得る場合、米麹から手作りするのがおすすめです!
市販されている甘酒の中には、加熱処理されていなかったり、冷凍してあったりして麹菌が生きている商品もあります。ただ、加熱の有無にかかわらず、市販されている甘酒を飲み続けるにはちょっと高い…例えば、飲みきりサイズの紙パックに入った甘酒は1本125mlで150円くらいはしますよね。
それに比べて、米麹から手作りする甘酒のなんと安いことか!麹屋さんにもよりますが、安いものだと100g70円、スーパーで売っている米麹は少し高めですが、400g500円くらいです。仮に、400gの米麹から2lの甘酒を作ったとしたら、紙パック125mlの16本分!しかも麹菌の効果も抜群です!
断然手作りの方がお得で健康的ですよね!ちなみに、米麹よりも酒粕の方が安いので、酒粕の甘酒の方がもっと安くできます。
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米麹を買うには
米麹を買うなら麴屋さんに直接行くのがおすすめです。とはいえ、小さいお店はなんとなく入りにくいとか、敷居が高そうだとためらってしまうこともありますよね。私も初めて麹屋さんに入るのはとても緊張して何度もやめようと思ったほど臆病でした笑。
でも、入ってみれば普通に優しい対応で、甘酒の作り方なども話ができて面白かったです。勇気を出して麹屋さんに入ってみましょう!
麹屋さんに行くことができない場合、スーパーでも手軽に手に入ります。冷蔵コーナーに、地元の麹屋の米麹や、有名大手酒店などの米麹が売っていると思います。
使う米麹によって味が違うので、いろいろな麹屋さんの米麹を試してみると面白いですよ。
試した秋田の米麹のお店
- 秋田市旭南【貝沼商店】
- 自分の中ではもっともしっくり来る懐かしい味です。昔から手作り甘酒を作っている人もうなるおいしさ!400g360円で袋詰めされています。
- お土産味噌で有名なお店で、地域のスーパーなどにも売っていると思います。
- 横手市十文字町【羽場こうじ店】
- 香ばしい風味で上品な味。粒が立っています。
- 麹茶や漬物なども売っていて、お店では朝ごはんや麹を使ったおいしいランチを食べることができる。
- 秋田市牛島【武田麹屋】
- 羽場の麹に似ている感じ。米麹は100g70円で、好きなグラム数を袋に詰めてくれます。
- 材料を持ち込んで好みの味噌を作ってくれる味噌屋です。昔はよくあった味噌づくりのスタイルらしいですね。今の時代、一般家庭で磯を作るのが大変になり、作っていた頃の家の味を再現してもらうために頼むんだとか。材料を持ち込まなくとも全てお店に任せることもできるようです。
- 味噌は普通と甘めがあります。甘めの方が少し価格は高くなりますが、どちらもお手頃な値段。(※いつも麹と一緒に買うので味噌だけの値段を聞きそびれてしまっていました…今度聞いたら加筆します。)
秋田は発酵文化が豊かなところで、県内にはいろいろな味噌、麹屋さんがあります。出かけた先の道の駅やスーパーにも麹を見かけることも。私は、まだそれほど多くの麹屋さんの米麹を利用して甘酒を作ったことはありませんが、今後も道の駅や地域のお店などで見つけたら買って作ってみたいと思います。
甘酒の作り方
甘酒の作り方はけっこうおおざっぱで、私も分量など適当に作っています。ただ、いつも気を付けることは60℃を超えないこと!これが、何度か失敗して学んだ重要なポイントだと思っています。それさえ気を付ければとりあえず麹菌は死にません。
米麹をケチって味が薄くなったことも何度もありますが、麹菌が生きてさえいればOK笑!というつもりでそのまま飲んだり、濃いのを作って足したり、失敗したら別の利用法もあるので大丈夫です。
雑菌が入らないようにも注意が必要です。甘酒は菌を生かすために沸騰させないので、雑菌が入るとその雑菌もどんどん繁殖してしまいます。道具や手はきれいにして作りましょう。
- おかゆを作る。
米を適当に煮て作ってもいいし、残り物のごはんを煮てもOK!
- おかゆを60℃まで冷ます。
調理用の温度計を用意!100均でも購入可能。
- おかゆに米麹をよく混ぜ合わせる。
米麹はもんであらかじめバラバラに崩しておく。
米麹を入れると温度が下がるので、再度60℃まで温めなおす。 - 60℃で6~8時間程度保温する。
保温しているうちに温度が下がるので、40℃くらいになったら再度60℃まで温めて保温すると良い。このとき、よくかき混ぜるのもポイント。
低い温度でも発行は進むが、55~60℃くらいがより甘くなる温度らしい。
米を入れずに米麹と水だけでも作ることもできます。麹菌のアミラーゼという酵素が米のでんぷんを分解するので、米を入れることで甘くなります。米を入れると粒感が増します。
私は米を入れることで量をかさ増しし、米麹の節約をしています笑。おかゆの量や米麹の量は適当なのですが、米麹が少ないとあまり甘くなりません。
私は、1.6リットルの鍋(シャトルシェフ)に、一握りの米と、鍋7分目辺りまで水を入れておかゆを作り、そこに麹を200gくらいを入れて作ります。いつもわりとあっさり目の甘さになり、ちょうどよいです。麹と米の粒はかなり残ります。
角館の『安藤醸造』では粒がなく滑らかな舌触りの甘酒スムージーを飲むことができるのですが、ミキサーでシェイクしてるのかなと最近気づきました笑。甘酒の粒々が気になる場合、スムージーにするのもいいですね。
うるち米ではなく、もち米にするとより甘くなります。
初めてもち米で作ったとき、思った以上に甘くてもたもたした甘酒になりました。私はどちらかというとあっさり目が好きなのですが、甘いのが好きな人には良さそうですね。もち米はスーパーや道の駅で手に入るので、少量を買って試してみると良いでしょう。
失敗する理由は温度管理ができていないから?
「甘酒は米麹を60℃くらいの一定の温度で6~8時間保温すればできる」と簡単に考えて初めて作った甘酒。最初は失敗しました。その後さらに2回くらいも失敗です笑。
初めて作ったときは、温度を図らず適当に温めて甘くならずに終了。その次は、保温するならもとから高い温度にしていたら冷めにくくなっていいだろうと思って70℃くらいに上げて保温しました。
どちらも温度が高くなって菌が死んでいたようです。じゃあ今度は低くしてみようと思い、30℃くらいで保温していたら、なんだか変な味のものになりました。35℃くらいでも発酵は進むようですが、時間がかかるようです。甘さや味にも違いがあるのかもしれませんね。
結論として、甘酒づくりは60℃を守った方がいい、と気づきました。もっとアバウトで甘酒づくりを楽しんでいいと思うのですが、コツというか自分の好きな甘酒の味の作り方をつかむまでは、60℃を超えないようにした方がいいでしょう。
温めなおすタイミングはけっこう適当でしたが、40℃くらいに冷めたら再度60℃にする、というのを2回くらい繰り返すのがいいと思います。
とにかく、60℃以上にしないこと!これがポイントです。
失敗した甘酒の利用方法
失敗したものはホットケーキに混ぜるともっちりしておいしい、と何かで見たのでホットケーキにしました。けっこうもちもちしたホットケーキになり、これはこれでいいかも。
あとは味噌汁に入れたり、ドレッシングに混ぜたりして食べきりました。
麹菌を殺さない!より効果的な甘酒の飲み方
甘酒が出来上がったらできるだけ早く飲むこと。火入れをしていないので、放っておくと発酵が進み、においがきつくなったり酸っぱくなったりしてきます。
火入れをすると日持ちがするのですが、健康と美容に良い麹菌が死んでしまいます。せっかく生きた甘酒を手づくりしたのにそれを殺してしまうのはもったいない!手作りした甘酒は冷蔵庫で保存し、出来れば5日程度で飲み切りましょう。
手作り甘酒は、数日で飲み切れる分を何度も作るのがおすすめです。
それと、甘酒を飲むときには温めすぎないこと!温めるときは電子レンジを使うことが多いと思いますが、温めすぎると体に良い麹菌や酵素が死んでしまいます。
甘酒は冬に体を温めるために飲むと思われがちですが、夏にこそ冷やして飲むのがベスト。甘酒が夏の季語になっているように、実は夏の暑気払いの飲み物で、夏バテ防止にも効果的です。とはいえ、冬は風邪をひかないなどの健康効果もあるので、通年で飲みたいものですね。
残った甘酒や米麹の保存方法
甘酒や米麹は、早めに利用して食べきるのがベストです。漬物を作ったり寒麹を作ったり、甘酒以外の活用方法もあります。
早めに食べきれない場合、冷凍保存すると長期保存が可能です。冷凍することで発酵を遅くすることができます。火入れするのと違い、冷凍した場合は麹菌は生きているので成分は変わりません。ただし、ゆっくりではありますが菌が活動するので、冷凍した場合でも1か月半~半年くらいで食べきるようにすると良いでしょう。
解凍するときは60℃を超えないように気を付けてください。せっかく麹菌を生きたまま保存したのに、解凍するときにレンジで殺してしまわないように。笑
甘酒を作るならサーモスのシャトルシェフがおすすめ
私は、サーモスのシャトルシェフで甘酒を作ります。シャトルシェフとは、簡単に言うと保温効果抜群の鍋です。外側が保温器になっていて、内側が取り外せる調理鍋になっています。
調理鍋を火にかけて、沸騰もしくは少し煮るだけで火から下ろし、保温器に入れると余熱で食材に火が通ります。高い保温力で、まるで煮ているかの如く黙っているだけで料理が出来上がる優れもの!IHでもガスでも使えます。
沸騰と保温を繰り返したり、保温に時間がかかるレシピもありますが、ずっと火にかけていなくていいので経済的で楽!
しかも、調理鍋を丸ごと保温容器に入れて保温できるのでとても便利!再度火にかける場合も、いちいち入れ物を移し替えたりする必要がありません。もちろん、再度温めるときも保温器から取り出してそのまま火にかけてOK!ずっと火にかけて煮続ける必要がないので経済的です。
これが甘酒を作るときにとっても便利!温度が下がっても保温器から鍋を出してそのまま火にかけて温め可能です。
シャトルシェフとは
シャトルシェフは、火にかけて沸騰した調理鍋を保温容器で丸ごと保温し、余熱で食材に火を通す保温調理ができる調理器具です。
シャトルシェフなら、ステンレス製魔法びんと同じ高い保温力があるので、食材をグツグツ沸騰させ続ける必要はありません。余熱でじっくり煮込むので、煮くずれさせず、素材本来の風味や旨みを生かしながら味をしみこませます。そのため、うす味でもおいしくヘルシーに仕上がります。
その他の甘酒を作る道具
保温できるものなら何でもかまわないと思います。保温機能がなくとも、普通の鍋で作って、温度が低くなる度に温めなおしを繰り返してもOK!
ただ、保温効果がないと何度も温めなおすのが面倒に…鍋を毛布や段ボール、発布スチロールなどでくるむと保温効果が高いです。
- ヨーグルトメーカー
- 温度を一定に保つことができるのでとても簡単に甘酒が作ることができる。作り方は、材料を入れて電源を入れて甘酒になるまで放置するだけ。
- 炊飯ジャー
- ごはんを保温する能力を使って米麹を発行させて甘酒を作る。材料を入れて保温し、甘酒になるまで放置するだけ。
- ただし、保温効果が高い炊飯ジャーの場合、麹菌が死んでしまうので要注意。うちの炊飯器では保温効果が高かったようで、米麹をうまく発酵させることができなかった…
- スープジャー、ポットなどの電気や火を使わない保温器
- 60℃にした材料を、あらかじめお湯を入れて温めておいた保温器に入れ、甘酒になるまで放置。
- ただし、材料の温度が60℃なので、特に小さい保温器の場合、冷めやすいので温めなおす必要がある。そのままでは加熱できないため、材料を別の容器に取り出して温めなす必要がある。
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米麹で手作りの甘酒を
自分で甘酒を作るのはめんどうだし難しそう、と思うかもしれませんが、60℃を超えないようにすればけっこう簡単です。
慣れるまでは失敗するかもしれませんが、手づくり甘酒を飲んだらはまりますよ。市販品より安く、健康的な手作り甘酒、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。